東京高等裁判所 昭和42年(行ケ)151号 判決
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〔判決理由〕本件商標及び引用商標の各構成がいずれも原告主張のとおり(編注、別図の通り)であること、本件商標からは「ジョッキー」の、引用商標からは「ジィッキー」の各称呼が生ずること、以上の事実は当事者間に争いがない。
原告は、その主張の三点において、本件審決に判断の過誤があり、違法であると主張するから、以下、順次検討する。
(一) 「ジョッキー」の称呼と「ジィッキー」の称呼とは、相類推するものというべきである。すなわち、両者は、語頭の「ジョ」と「ジィ」における各接続母音が異なるけれども、それらはいずれも短かい吃音となる部分であつて、他の音はすべて同一であり、したがつて、両者をそれぞれ一連に呼称すると、全体として語調が相近似し、彼此相紛れるおそれが十分である。原告は、両者ともアクセントが語頭におかれるから、全体として、語調に相違がある旨主張するが、この場合、アクセントが共に語頭にあるときは、かえつて全体の語感語調が近似するに至るものと認めるのが、経験則上相当である。したがつて、本件商標と引用商標とは、称呼上類似の商標といわざるをえない。
(二) 次に、原告は、本件商標と引用商標との間に称呼上ある程度の類似性があつても、各指定商品である香料、化粧品については、需要者の選択が慎重であることを根拠に、両者は彼此混同のおそれがない旨主張するけれども、本件商標と引用商標との間に称呼上前認定のとおりの全体的語調語感の類似が認められる場合においても、なお、香料、化粧品等の需要者は、一般に、両者を彼此混同せず、称呼上これを別異のものと認識するほどの注意を用いて購入するものであること、これを認めるに十分な証拠がないのみならず、原告の右主張は、称呼が類似する場合にもなお商標の構成に由来する外観的認識をも加味して判断すべきことを前提とするもののようであるが、かかる外観的認識は、商標の称呼の類否判断については考慮すべき事項ではないものというべく、原告の右主張は不当であるから、いずれにせよ、この主張は採用することができない。
(三) また、原告は、本件商標と引用商標とが称呼上類似のものであるとしても、外観及び観念において相異ることを前提として、香料、化粧品等の取引については、両者の付された各商品の出所の誤認混同を生ずるおそれがない旨主張するが、本件審決は、本件商標と引用商標との称呼上の類否を判断したにすぎないのであり、かつ、右指定商品は付された商標の称呼のみを取引上の商品選択の基準とされる可能性が全くない旨の立証はないから、両商標が称呼上類似とされる以上、外観及び観念についての異同を論ずることは無用のことに属するものである。原告の右主張は、採用の限りでない。
以上のとおりであるから、その主張のような違法のあることを理由に、本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというべきである。
よつてこれを棄却する。(服部高顕 石沢健 滝川叡一)